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大悲千禄本【一】

大悲千禄本一 名著全集『黄表紙廿五種』名著刊行会
 高橋明彦様「半魚文庫」

 大悲とも呼ばれる千手観音も不景気にはどうすることもできない。お気の毒に千本の手を、安くレンタルして不況をしのごうと、日頃の慈悲の誓願ならぬ、商売を決意する。面の皮屋千兵衛は山師、大悲の御手を一本一両と値段を付けて、レンタルを請け負う。千両を大悲に払って、千本の大悲の手を全部切り落とす。

 大悲 「まるでお灸みたいに、はじめの三本我慢したら、もういたくない。悪い手があってもやり直しはなしよ。カルタの悪い手じゃないんだから。」

 せんじ(せんじゅ)づめたことだ

 てれめんてい兵衛「こちらの方は結構手こずりました。」ばらばらばら。。。

 手きり金と千両箱。

(蛇足)大悲の手をくわえキセルで切り落とす千兵衛、前からのみと槌を持って迫る千兵衛に雇われた手代のてれめんてい兵衛。俗にまみれる大悲が、お灸やカルタの手まで言うところに、大悲が身近に信仰されていたことが感じられます。    





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