名著全集『黄表紙廿五種』名著刊行会
高橋明彦様「半魚文庫」 蔵茨木童子は、大悲の腕を借りたけれど、毛のない腕は使えないと、神田の台の与吉に毛を生やしてもらう。
与吉「いま、猪の毛は品切れしていますので、鹿の毛をうえました。猪の毛なら愛宕山へ、鹿の毛なら春日山に行ったらどうですか」
与吉の女房「茨木さんじゃ、(浮気をする)気がない(気になれない)よ」
茨木「浅間山から降ったのじゃないか」
与吉「私の妻も、今はむじゃむじゃと生えました」
(蛇足)茨木は鬼らしく、毛の生えた腕にしようと、与吉に毛を植えてもらいます。与吉の女房は、浮気をして、無毛症と噂をたてられ、与吉は愛宕山の猪の毛をむしって、のりでつけ、「毛はあるぞ」と妻の浮気を取り繕ったという話があるそうです。それで、女房は茨木とは「気がない」(毛がない)としゃれているのです。その話が本当なら、与吉はこっそりとそれをしたはずだけど、ここでは、与吉に堂々とそれを言わせています。
天明三年、浅間山が噴火し、毛のような灰が降ったという記録があり、そのときのものじゃないかという茨木です。
ふすまからちょっと顔を出して、茨木を見る女房の眉を落とした顔、派手な衣装が、なんかイイ感じです。亭主がいて、浮気をして、幸せな人でしょう。
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