
名著全集『黄表紙廿五種』名著刊行会
高橋明彦様「半魚文庫」 蔵一の谷の戦いで右腕を切り落とされた平忠度、あまりのうれしさに興奮して、やはり左の手を借りて来てしまった。千載集に読人知らずとして載せられた「さざなみや志賀の都は荒れにしを昔ながらの山桜かな」の句も、裏返しの字で書いてしまう。
忠度「左文字ではみっともない。読人知らずとしておこう」
驚いて右の手を借りにやったところ、もはや貸し出し中で残っていないとのこと、仕方がないと、その左手で落書きをする。しまった、西方浄土を拝むところだと念仏を唱える。
忠度「六弥太めに切られた腕はもうしなびたかしらん」
(蛇足)謡曲「忠度」では、六弥太(頼朝の臣)に右手を落とされた忠度は、左手で六弥太を投げ、西方浄土を拝むそうです。自分の落とされた腕を、もうしなびたかしらぬ、と言うところは、やっぱり手を、大根にうつしているのがわかります。
あわてて左手を借りてきてしまった忠度、もうレンタル中になっていた右手、ビデオレンタルにもありそうな話です。
ページをめくる
トップページに戻る