大悲千禄本【五】

大悲千禄本五 名著全集『黄表紙廿五種』名著刊行会
 高橋明彦様「半魚文庫」

  客を引き留める手練手管のないお女郎も、千手の手を借りて、お客をだます。ところが、レンタル貸しの手なので、期限が来て回収に来るのには困る。

 お女郎「この子(禿=お付きの少女)は、お客さんがおいでなのに気の利かないことだ。お客さんに気づかれないよう、そっと返してくれればいいのに。早く持って行きなさい」

 禿「だって、面の皮屋が取りにきたんだもの」

 お女郎「禿というものは、手が鳴ったらお銚子のお代わりとさとるものだよ。おきゃくさんは、女郎に手がないときは、笑ってやって下さいね」

 客「たくさん手のある人だ、まるで蛸のようだ」

(蛇足)お客の目の前で、手を回収されては、お女郎もたまりません。しかし、借りた手のあるうちは、お客さんに上手にフォローできてしまいます。





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