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江戸生艶気樺焼上巻其の二

天理大学付属天理図書館

 艶二郎は近所の道楽息子吉原喜之介、遊びのお供が大好きな医者、悪井志庵と友達になり、さらにもてもて男になることを思案いたしました。

 艶二郎 「もてもて男として噂される方法が何かある?」

 喜之介 「まず、流行歌を知らなくてはならんでしょう。よくはやっているのを少しばかり紹介しよう。まず、きゞす、無間、さかづき、時酒、ゆかりの月、三ツのとり、三ツぶとん、二つ紋、四ツの袖、かぶろだち、沖の石、花の雲、朝顔、六歌仙、…まだまだあるけど、こんなもんかな、ああ、口がつかれた。
 遊女に出すラブレターの書き方には作法があるんだ。封印を『通う神』なんて書かないと縁が切れるっていうね。返事が来たら、その差出人に、源氏名でなく、本名を書くようになると商売抜きの間柄ってね。」

 志庵 「便せんの巻紙を、口でぬらしてちぎるだろう、そこに口紅のついているのは素人の女性ではないのだ。遊女はどんなに地味にしても耳の脇に枕だこがあるのですぐにわかってしまうんだ。」

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