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江戸生艶気樺焼上巻其の五

天理大学付属天理図書館

 艶二郎の家に駆け込んできたおえんが艶二郎によよと泣きついておるのを、お手伝いたちがのぞいて、「うちの若旦那に惚れるとは、物好きなかわりものだ。」とささやきかわす。

 おえん「私は身持ち定まらないおんなたちの町、新道に住み慣れた踊り子なんです。茅場町の薬師様の縁日で、植木の影から艶二郎さんに一目惚れしてしまいました。女房にしてくれなくても、食事の用意でもさせていただきたいのです。それもかなわないのなら、死ぬ覚悟です」 と、注文通りのせりふを並べる。

 艶二郎「色男は、いろんな難儀をしなくてはならないな。もう十両やるから、もっと大きな声で、近所にも聞こえるように、頼む」

 番頭候兵衛「若旦那のお顔で、こんなことが起きることがないと思っていたのに、あなた、人まちがいではないですか。」

 艶二郎の父親、二右衛門、艶二郎と志庵が仕組んだこととは知らないので、困惑して、とりあえずその場を納めておえんを帰す。
 



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