江戸生艶気樺焼中巻其の三

天理大学付属天理図書館


 艶二郎は、ヒット中の芝居「家桜」のせりふ、「(廓より)帰る時間を告げるようにほえる犬、(遊女と)痴話喧嘩のあげく帰る男の袖を、遊女お付きの少女が引き留めようと引っ張る、男も後ろ髪を引かれる思いだが、きっぱりと振り切って帰る」をやってみたくなった。 お付きの少女たちに、人形をプレゼントするという約束で、吉原入り口の大門で待ち合わせし、羽織ぐらいは裂けてもかまわないと袖を引っ張ってもらう。

艶二郎「これこれ、はなしておくれ、こうやって引きづられて行くところは、恥ずかしくも色男のようだ」


(蛇足)吉原では、相方の遊女を一人、馴染みとして、断りなくほかの遊女のところに通うことはできなかったらしい。そうなったとき、客を大門周辺でまちぶせるのは、馴染みの遊女を世話する「新造」「禿」と呼ばれていた少女たち。大門で袖を引かれることは、馴染みがあり、よそに見初めた遊女もある場合で、艶二郎は芝居の内容とは違った役を演じたことになります。



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