江戸生艶気樺焼中巻其の四

天理大学付属天理図書館


 艶二郎は、4,5日ぶりで家に帰った。待ちかまえていた妾(中巻其一参照)は、今こそ奉公のしどころだと、練習しておいたやきもちの言葉を言う。

妾「本当に男の人っていうのは、どうしてそんななんだろう。そんなに惚れられるのがいやなら、男前に生まれつかないといいのに。また、女郎も女郎だ。ひとの大事な男を帰さないで。おまえさんもおまえさんだ。はいはい、せいぜいおやりなさいまし。今日はここまでにしておきます。」

艶二郎「恥ずかしいことだが、生まれてはじめてやきもちを焼かれる。何とも言えない気持ちだ。もっと焼いてくれたら、おまえが欲しがっていた反物の八丈と縞縮緬を買ってやろう。もうちょっと頼む。」

妾「買ってくれたら続きをするよ」

(蛇足)頭をかく艶二郎。その手の向こうの壁に、「きしょうさし(起請差し)」が見える。これに差すのは、遊女が艶二郎との仲を誓った文のはず。わざわざよく見えるところに、おまけに「ラブレター入れ」なんてしっかり書いて。



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