
天理大学付属天理図書館 蔵
艶二郎 AND 浮き名 「興ざめで鳥肌立つ道行」の巻 ♪♪恋のためなら死んでもいいと、それは論語の言葉だけれど、なんて浮気な言葉なの、柔らか肌の二人の裸、再びあなたに会うまでは、結んだ紐は解かずにいよう、いーやぁー、解こうとしても解けぬ疑い、不審(普請)な土手の高みから、川へーーとんとーー落ちぃたらーー人のーー噂。
♪♪どこの女郎か、知らないけれど、結びの神も知らん顔。けんかした日も懐かしい、昔となった中の町。女郎歩きもこうなれば、その勢いもなくなって、 涙に混じる水ばなを、ふく袖さえも持たないの。流れる水ばな体をすべり、とうとう、お腰のーー裾をーー絞ったわぁーー。
♪♪東風が身をさす鳥肌の、男の顔は真っ青で、二人で染めた誓いの紋も、まるで質屋が流すよに、流れてしまう隅田川。無理を承知の夜10時、きみの胸には明日の自由が、ところが今はふんどしを、引きずる長い春の夜。裸のふたり、急ぎゆく。(せりふ)艶二郎「僕は仕方ない、こうなったのも僕の勝手さ。きみは寒いだろう、ほんとなら着物を着て最期の場へゆくところを、僕たちは裸で、家まで道行きさ。反対だね。ところで、お揃いのふんどしとお腰が、ここできまったね!!」
(せりふ)浮き名「こまったわ。巻き添えは。」
♪♪(三味線)気持ちが不幸を招くとは、艶二郎のくだらないーー思いつきのーーー心中話、このときーー世間に、やっと、やっと噂になったーー。しぶうちわーーの絵にもなったーーー。
(蛇足)三巻3ページ目で、艶二郎はこの心中のことを芝居にしようかと思っていたことがあります。それを受けて、このページは、浄瑠璃仕立てになっています。なるべく七五調にしましたので、お好きなメロディーにのせてみて下さい。演歌調もイイですが、適当な間投詞を入れて、ラップもすてきです。
しかし、原文には興味深いしゃれやこじつけなどあって、それは再現できなかったところもあります。お時間のある方は、是非原文をごらんくだされ。
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